「オレが良いと言うまで、お前は店に出てくるな」ーーカーテンの向こうにあった、もう一つの顔
元夫がマッサージを本格的に始めた頃のことを、思い出していました。
怪しいことは、何度もありました。
命令されたことに、私は従うしかありませんでした。
愚かな自分を責めたい気持ちもあります。
でも、あの時はそうするしかなかったと、今もそう思います。
美容室の店内、カーテンを引いたその奥は、いつしか違う空間になっていました。
カーテン一枚の向こうから聞こえる、奇妙な女性の声。
色っぽい、とでも言えばいいのでしょうか。
ハサミを持つ私と、目の前のお客様。
何度も、視線を交わしました。
カーテンの向こうを、お互いに見てしまうのです。
「何してるの?」
お客様が、小さな声で私に尋ねます。
私は、堂々と答えられませんでした。
整体です、と言ったところで、なぜあんな声が聞こえてくるのか。
次第に、美容室のお客様たちからも、疑いの目を向けられるようになっていきました。
そんな頃からでした。
「おれが良いというまで、お前は店に出てくるな」
マッサージが終わるまで、奥の部屋に引っ込んでいろ、ということでした。
特定の女性のお客様の時、決まってそう言われました。
カーテンの向こうで、一体何が起きていたのか。
結論は、一つでした。
でも私は、それを黙っているしかありませんでした。
支配された関係の中では、見て見ぬふりをすることしかできない瞬間があります。
黙るしかなかった自分を、どうか責めないでください。
それは、あなたが弱かったからではありません。
そうするしかない状況に、追い込まれていただけです。
📞 #8778
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