化粧ポーチの切り抜きが私を救ってくれたーー岡野あつこさんの言葉と私の28年

「オレが良いと言うまで、お前は店に出てくるな」ーーカーテンの向こうにあった、もう一つの顔


元夫がマッサージを本格的に始めた頃のことを、思い出していました。

怪しいことは、何度もありました。

命令されたことに、私は従うしかありませんでした。


愚かな自分を責めたい気持ちもあります。

でも、あの時はそうするしかなかったと、今もそう思います。


美容室の店内、カーテンを引いたその奥は、いつしか違う空間になっていました。

カーテン一枚の向こうから聞こえる、奇妙な女性の声。

色っぽい、とでも言えばいいのでしょうか。


ハサミを持つ私と、目の前のお客様。

何度も、視線を交わしました。

カーテンの向こうを、お互いに見てしまうのです。


「何してるの?」

お客様が、小さな声で私に尋ねます。

私は、堂々と答えられませんでした。

整体です、と言ったところで、なぜあんな声が聞こえてくるのか。


次第に、美容室のお客様たちからも、疑いの目を向けられるようになっていきました。


そんな頃からでした。

「おれが良いというまで、お前は店に出てくるな」

マッサージが終わるまで、奥の部屋に引っ込んでいろ、ということでした。

特定の女性のお客様の時、決まってそう言われました。


カーテンの向こうで、一体何が起きていたのか。

結論は、一つでした。

でも私は、それを黙っているしかありませんでした。


支配された関係の中では、見て見ぬふりをすることしかできない瞬間があります。

黙るしかなかった自分を、どうか責めないでください。

それは、あなたが弱かったからではありません。

そうするしかない状況に、追い込まれていただけです。

📞 #8778
各都道府県の女性支援センターにつながります。

詳しくはこちら→ https://www.mhlw.go.jp/anata-no-mikata/


コメント

タイトルとURLをコピーしました