「私はお手伝いさんやない」―― お客様の一言に、言えなかった本当の言葉

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少しずつですが、低料金の美容室に慣れた頃でした。「指先からこのお客さん怖いわ、という自分の気持ちが伝わらないように」努めていました。怖い、は思わない。無になる。そして、必要以上に丁寧に櫛を通す。

今まで美容室という場所に行かなかった方々が来店する店でした。まだ切ってもいない、ハサミすら握ってもいないのに「前髪短くなってる!」と騒がれたこともしばしば。水の入った霧吹きで髪を濡らしたら「痛い!」と言われて、オロオロしていた自分がいました。

そんなお客様の対応を何とか切り抜けられるようになると、お客様が自分の顔を覚えてくださり、スムーズとはいかなくても、会話ができるようになっていきました。

そんな時、あるお客様が言いました。

「ええなぁ。手に職あって。私も手に職あったら、今すぐにでも旦那と別れたいわ」

別れたくても、経済的に離婚ができない方々がおられるのも確かでした。暴力でも振るわれているのだろうか。家にお金を入れないのだろうか。深く聞くわけにもいかず、15分で施術を終えなければならなかったので、「そうなんですか?」としか言えなかったのが、心残りです。だから、今日も書いています。

別のお客様はこう言いました。

「私はお手伝いさんやない。ただで使える家政婦だと思われているのが嫌だ」

長年の苦労が、短い言葉に集約された気がしました。本当はもっと言いたいこと、つらいことがあるんでしょう。

一日多い時には、25人、35人と施術していました。

もちろん、幸せな奥さんもおられます。「主人が先月亡くなって寂しいわ」とおっしゃるお客様もおられました。現在もそうです。そのお気持ちだけは、今の私にもまだ理解できません。仲良く歩くご夫婦をお見かけしますが、「ほんまに仲良いんかなぁ、外面だけと違うんかなぁ」と、疑いの目で見てしまう自分が情けないです。

稼ぎもない。かまってちゃん。ギャンブル狂い。汚い。臭い。ケチ。根性腐ってる。見る目がなかった自分が悪いのです。さっさと見切りをつけなかった自分が悪い。

未だに、男の人が怖いと思うことがあります。若い男性ではなく、年配の男性です。「ああ~!」と大きな声を出されたら、一瞬、ビクッとします。まだまだ傷は癒えてないなぁと感じます。

元夫が私に行ったDVという行為。その所業の重さは、計り知れないほど私の心を傷つけました。この行き場のない気持ちを持った女性が、この世の中にどれほどいることでしょうか。

一人で抱え込まず、あなたのミカタ#8778、または各都道府県の女性支援センターに、まずは話してみてください。

明けない夜はない。

📞 #8778
各都道府県の女性支援センターにつながります。

詳しくはこちら→ https://www.mhlw.go.jp/anata-no-mikata/


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