「何で? 何で? 私がこんな目に遭うの?」―― 何もない部屋の夏、古着屋で見つけた小さな救い

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狭い部屋には、家具が何もありませんでした。

「あっ」と声を出すと、声が響きました。やることがないわけではなかったのです。けれど、とにかく、何もない。

まず、カーテンを買いに行かなければなりませんでした。外から、丸見えだったからです。特に夜、部屋の電気をつけると、ベランダの向こうの一軒家の窓から、こちらが丸見えでした。もちろん、こちらからも丸見えでした。

幸い、洗濯機は設置してありました。冷蔵庫も、小さいものがありました。病院の部屋にあるような小さなもので、食べ物を保存するのは難しかったです。それでも、無いよりはマシでした。

コンロが、ひとつ。鍋は、ない。

「何で? 何で? 私が、こんな目に遭うの?」

そう思ったら、涙が流れたのを、思い出します。

暮らしていくのに必要な最低限のものを買うたびに、通帳の残高が減っていきました。

今も覚えているのは、真夏の暑い時期だったことです。エアコンが付いていたので、本当に助かりました。

お盆の間は、裁判所とも、弁護士の先生とも、連絡が取れませんでした。最後の頼みの綱として、保護施設から紹介していただいた先生にお会いするのを、心待ちにしていました。

狭い部屋に一人でいると、頭がおかしくなりそうでした。呼吸が、はあはあと荒くなっていました。あの時の私は、自分で自分を追い詰めていたのかもしれない、と今は思います。

ある日、何も持たずに、ふらっと外に出ました。

すると、公園がありました。暑いのに、遊んでいる子どもたちを、ぼーっと眺めていたら、近くに古着屋さんがあるのを見つけました。

気分転換に、入ってみました。

すると、なかなか良い感じの服が、安く売っていたのです。

急がなくても良いのに、私は急いで財布を取りに戻って、普段着と、部屋着と、鞄を買いました。透明な3段の引き出しも、買いました。この部屋での、私の最初の家具です。今も、押入れの中で、衣替えの服をしまうのに、使っています。

古着を見ていた間だけは、淋しさを忘れていました。

「先生にお会いする時は、面接の服で良い」
いろいろ、頭で考えました。

一瞬でも、悲しみと淋しさを忘れられた時間でした。

もし今、何もない部屋で、一人で、不安な夜を過ごしている方へ。

苦しくなったら、無理に一人で耐えなくて大丈夫です。散歩に出てみる。好きなお店を、のぞいてみる。ほんの少し、気分が変わる時間を、作ってあげてください。それは、逃げではなく、心を守る時間です。

それでも、息が苦しくなるほどつらい夜は、一人で抱え込まず、DV相談ナビ #8008 や、#8778 に、話してみてください。

明けない夜はない。

📞 DV相談ナビ #8008
📞 #8778
各都道府県の女性支援センターにつながります。

詳しくはこちら→ https://www.mhlw.go.jp/anata-no-mikata/


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