「あ〜スッとしたわ」と言う言葉が、全てを物語っていた。
美容師として、私はお客様一人ひとりとの信頼関係を、何年もかけて築いてきました。技術だけでなく、会話を重ね、その方の好みや悩みに寄り添いながら、少しずつ「この人にお願いしたい」と思っていただけるようになる――それは、決して一日でできることではありません。
ところが、ある日、その信頼関係は思いもよらない形で踏みにじられました。元旦那の中学時代の同級生だった女性が、美容師の免許を持っていないにもかかわらず、お店でお客様の髪を切り、その上料金まで受け取たのです。仕上がりは斬斬り状態でした。それでも元旦那は、その女性に向かって「さすが門前の小僧、習わぬ経を読むやな」と笑いながら褒めていました。
私が必死で築いてきたものが、一瞬で水の泡になった瞬間でした。
その女性は、それだけでは終わりませんでした。夫の他の男友達の家にも出入りしており、ある日、圭という方の奥様から、泣きながら私に電話がかかってきました。後になって知ったのですが、男性たちの間では、その女性の身体について話題になっていました。私だけでなく、他の奥様方も「あれはただの女友達ではない」と感じていたのは、決して気のせいではなかったのだと思います。
そして、今でも忘れられない出来事があります。その奥様の旦那さん――夫の友人で、ここでは圭さん(仮名)と呼びます――が、ある日我が家に遊びに来たときのことです。彼は私に向かって、こう言いました。
「お前の頭は飾りか?」
彼は私に向かって、こう言いました。
「うちの嫁はKekoのことを不倫相手やと勘違いしてる。うとおしい。ただの友達や言うてんのに」
私は黙って聞いていました。お茶も出しました。
すると圭さんは、突然自分の頭を指で突きながら、私の方を向いてこう怒鳴りました。
「おまえの頭は空っぽか!お前の頭は飾りか!ああ。スッとしたわうちの嫁はんに言われん分ここでいうったたわ!」
自分の嫁に言えないことを、何故私にぶつけるのか。私は何も言い返せませんでした。ただ、静かに怒鳴られながら、お茶を飲みながら罵声を聞き続けていました。この圭と言う夫の友達は金型の工場を経営していた。危険が伴う仕事であり、従業員の何名かは指を落としたりされていた。でも安全装置を付けるのは勿体無いと付けずに起きた事故もあったと、聞いたことがありました。人の命を何だと思っているだ。
そのとき、私の中で何かがすとんと落ちました。
――ああ、そうか。夫も、いつもこういう目で私を見ていたのだ。類は友を呼ぶ。だと。
普段から夫に「お前は頭が悪い」「お前は嫁と言う生き物や」と言われ続けていた私は、それが「夫婦の間だけのこと」だと思っていました。でも違った。夫の周りにいる男性たちにとって、私はそういう扱いをしてもいい存在として、最初から見られていたのです。
夫が私をどう見ていたか。それは、友人たちの態度にそのまま映し出されていました。
毎日毎日朝から晩までパチンコ三昧の夫に対して「働け」と言う友達でも無く私は本当に夫のまわりの人間から人としてみられてなかったのだと感じました。
#8778 各都道府県の女性支援センターへつながります。
同じように、「なぜ私だけがこんな目に遭うのだろう」と思っている方へ。それはあなたのせいではありません。あなたの周りにいる人たちが、そういう空気をつくり出していたのです。どうかご自身を責めないでください。


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