「俺も着いていくからなぁ」――ママ友とのランチに現れた、あの日の夫

Uncategorized

日々の接客の中、お客様との会話から、昔の結婚生活を思い出すことが多くなりました。今年8月に元DV夫が亡くなってから、見るもの、聞くもの、匂い、音、髪に当たる風、知らない人とすれ違った時に感じる人の感情――そんな些細なことで、過去の辛かった自分、悲嘆に暮れていた自分が蘇り、胃のあたりをぎゅっと握りつぶされるような感覚になります。

そんな中、お客様が楽しそうにこうおっしゃいました。

「今からランチに行くのよ。子供が幼稚園の時のママ友と」

微笑ましく聞きながら、私の頭には、ママ友とのランチに何度も夫がついて来た記憶が蘇りました。

私は基本的に、家族以外の人間に会うことを禁じられていました。外出する時も、どこに誰と行くのか、本当に子供と行くのか、子供にまで確認を取られていました。何のために、何を買いに行くのか。それは本当に必要な物なのか。とことん追及され、追い詰められる日々でした。ですから、夜にママ友たちと居酒屋で飲み会など、論外でした。

3人の子供たちが幼稚園を卒園し、小学校に上がった頃、仲の良かったママ友から、美容室の休みの月曜日にランチのお誘いを受けました。私は即答できず、「旦那に聞いてから返事するね」と答えました。私の事情を知るママ友は、黙って返事を待ってくれました。

今思えば、おかしな話です。ママ友と休日にランチに行くのに、なぜ夫の許可がいるのか。

夫に聞いた時、彼はこう怒鳴りました。

「俺の悪口言いに行くんやろ!」

巻き舌で怒号を浴びせる夫に、その頃にはもう、言い返すことすら忘れていました。何を言われたか細かくは覚えていませんが、怒鳴られたことだけは覚えています。そして出た結論が、これでした。

「俺も着いていくからなぁ!」

なぜそこまでして――そう思いましたが、言っても無駄なことでした。無理を承知でママ友にその事情を伝えると、彼女は一瞬戸惑いながらも「いいよ」と言ってくれました。

自宅から駅で3駅先の日本料理店を、夫が勝手に予約していました。稼ぎもしないくせに、なぜその店にしたのか。ママ友とどこで食べようかと考えるのを楽しみにしていた私にとって、それさえも奪われたことがショックでした。

当日、夫が運転する車に乗って店に到着すると、私とママ友はカウンター席に座らされました。後から思えば、あれは監視でした。たまたま、料理店の大将は珍しく夫のマッサージのお客様でした。夫は少し離れたカウンター席に座りました。

「落ち着かない。何でついてくるの? 異常やね」

ママ友が小声でそう言いました。目を見開いた夫が、こちらをじっと睨みつけていました。夫に気づいたママ友は、話しにくいと会話を切り上げてしまいました。あの後、二人でどんな話をしたのか、何を食べたのか、味すら全く覚えていません。食事の間ずっとこちらを睨みつけていた、あの顔だけは忘れません。死んでも許せません。

ランチの後は、すぐに解散になりました。ママ友も、あの空気の中にはいられなかったのだと思います。せっかくのランチだったのに、本当に残念で、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

帰りの車の中で、夫はまた怒鳴りました。

「俺の悪口言うてたやろ!」

そんなに自覚があるなら、働けばいいのに。言いたい気持ちをぐっと噛みしめました。言えない。行くところも、助けてくれる人もいない。夫は私を周りから遮断し、孤立させることで、私を支配していたのだと思います。

今は、声を上げられます。どうか、#8778に電話してください。警察でも、病院でも、どこでも構いません。あなたを大事にしない夫からは、逃げてください。

あなたのミカタ #8778

各都道府県の女性支援センターはこちら
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.htm

コメント

タイトルとURLをコピーしました